【特別支援学校修学旅行実施前下見を実施】
- 櫻井純
- 2018年7月23日
- 読了時間: 4分
今回は今年度実施予定の特別支援学校修学旅行の下見を教員の先生と行いました。障害当事者が運営する数少ない旅行会社として、同じく障害によって配慮が必要な方のご旅行を一緒に実現する特別な機会です。 身体障害のある方、てんかん発作、気管切開、人工呼吸器など医療的ケアが必要な方。障害程度も疾患も異なれば旅行手配の際に必要となる配慮は多種多様。今回は宿泊施設・食事施設・食事内容・移動について、引率される職員の方と対応いただく施設の方を交えて打ち合わせと確認を行いました。各施設で対応してくださる担当者は日によって変わる場合があり、現地で確認することが安全で無難なので下見を大事にしています。
【宿泊施設】 ドア幅から室内の段差や通路幅の確認。医療機器設置のための室内コンセントの配置確認。医療行為が必要な方のための休憩室の設置。転落防止のためのベッド配置や介助者が見守りやすい部屋配置。

※写真は客室のドア幅と通路幅と段差、バスルームやトイレの形状を計測しています。

※ベッドの転落防止柵。ベッドを壁側に付けるなど配置の変更が可能かを確認 【食事施設】 嚥下困難な方のための2次調理対応。アレルギー対応。食事場所座席配置や通路幅及びスペースの確保。食事施設利用時間の延長交渉。

※食事会場レイアウトと使用テーブル通路幅を実際に車椅子で確認。テーブルの形状が車椅子幅に合わないことを確認して相談依頼。 【移動】 多種多様な車いすサイズに対応する移動手段(バスや福祉車両)の確保。 このように健常者の旅行と比べて、特別な配慮を必要とする方がみんなで動く際にはいろんな検討事項があります。だからこそ移動手段も宿泊も食事も、現地に足を運んでご意見をいただきながら細かい調整や交渉を行っています。
【今回の現地確認メモ抜粋】 ・車椅子で介助者と利用困難な食事テーブル。実際に車椅子のサイズ(大きい物は160センチ)を伝えながら見てもらいながら利用が難しいことを具体的に伝える。足下に柵がない別のテーブル利用を依頼。 ・食事介助が必要な方と介助者との着席スタイル(隣で並列、向かい合わせ、斜め隣)を見ていただくことで、通常の配席ではスペースが不足していることを伝えた。1人で2〜3人分の席数のスペースが必要な方が多数。接触により骨折の可能性があるため通常よりも広い配席が必要。 などなど、今回の下見は私が実際に車椅子で客室を利用する場面や、車椅子では難しい食事配席やテーブル配置を見ていただいて一緒に改善方法を考えました。
旅行業界の中でも「合理的配慮」という言葉で旅行の際に特別な配慮が必要な方への対応がよく協議されます。しかし、当事者にとっては実際にどんな準備と配慮が必要なのかを正確に伝える事は難しいです。車椅子ユーザーであり見た目に分からない障害や複数の難病と向き合う私も、全ての疾患や障害に対して完璧な理解があるわけではありません。それでも当事者の目線から伝える事に意味があり、何度も何人も協力を求めることが次に配慮が必要な方の安全で安心な受け入れに繋がります。人の数だけ対応方法は異なりますが、同じく配慮が必要な方のために学び寄り添う人が増えることを願って、治療の合間に旅のサポートを前線で続けています。 立ち止まって並ぶことが難しかったり、車椅子ではみんなと行動の早さが合わせられなかった私も、今回観光地のテーマパーク下見の際には先生に車椅子を介助していただいて、係の方に誘導していただいて、久しぶりにアトラクションやパレードを楽しむことができました。慣れない場所で体調のコントロールが難しい、知らない場所は不安、移動が困難、同じ旅の悩みを持つ立場だからこそ、できること考えられることがきっとあります^^当事者目線と業界目線の間を取り持つのが私たち櫻スタートラベルの旅行の特徴です。
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